テュールは北欧神話における、勇敢な片腕の軍神です。
チュール、テュルなどとも呼ばれます。
北欧神話の主神・オーディンの三男とされています。
歴史的には、元々は天空神、さらにオーディンが主神(最高神)となる前は、テュールこそが主神的な立場だったとされています。
テュールのエピソードでは、フェンリルとの因縁がよく知られています。
獰猛な狼の怪物フェンリルは、あまりにも狂暴だった為、北欧神話の主神オーディンにより、監禁されることになりました。
フェンリルを繋げるのは難しく、最終的にはグレイプニル(魔法の紐)に繋がれることになりました。
しかし頭もよく、疑り深いフェンリルはグレイプニルが危険でないことの証明のため、誰かの腕を自身の口内に入れることを要求しました。
フェンリルを恐れる他の神々はその要求に戸惑い、フェンリルはそれを見てあざ笑いました。
それを見たテュールは、これではまずいと考え、自らフェンリルの口に腕を入れ、フェンリルをグレイプニルに繋ぐことにしました。
グレイプニルに繋がれたあと、フェンリルはそれを壊すことが出来ないと気づきました。
怒り狂ったフェンリルは、テュールの右腕を噛み切りました。
テュールに片腕が無いのはそのためとされています。
テュールは、最終的には「ラグナロク」において、解放された冥界の番犬ガルムと相打ちになる運命となっています。
一方のフェンリルは、最高神オーディンを飲み込んだとされています。
なお、北欧神話は、現在でも世界中で命名などの元ネタになっている神話ですが、英語の「Tuesday」(火曜日)の語源は、このテュールです。
Tyr's (Tiw's) dayからきています。