アテナは、知恵、芸術、工芸、戦略を司る、ギリシア神話の女神で、オリュンポス十二神の一柱です。
ゼウスの額から生まれたとされ、アルテミスと並び、処女女神としても有名です。
ギリシャ文明以前のミノア文明の城塞都市において「都市の守護女神」として崇拝されてきました。
アテーネー、アテーナー、アテネなどとも呼ばれます。
アテナは、ヘラクレスやペルセウスなどの勇者に対しては大変に好意的に接していましたが、プライドが高く、同性には相当手厳しい女神でした。
アテナの同性に対する気性の激しさは、アラクネとアテナのエピソードにも現れています。
コロポンの町に住むアラクネは、機織(はたおり)の名人でした。
いつしか、彼女は「オリンポスのどの神々でも、私ほどうまく機を織る者はいないだろう」と自慢するようになりました。
プライドの高いアテナは、もちろん頭にきて、老婆に化けて諌めに行きました。
しかし、アラクネはアテナの忠告を受けず、結局ふたりは機織競争を行うことになりました。
アテナが織り上げたのは、オリュンポスの十二神と神に懲らしめられる人間を模様にした布でした。
一方のアラクネが織り上げたのは、神々と人間の女性の恋愛模様の布でした。
いずれの作品も優劣をつけようのないものでしたが、アテナはそこで、せっかくのアラクネの作品をずたずたに引き裂き、更にアラクネを打ち据えました。
その結果、アラクネは自死し、アテナは死んだ彼女を蜘蛛に変えました。
この神話より、ギリシャ語では蜘蛛のことを彼女の名をとってアラクネと呼ぶようになりました。